シェアハウス専門ポータルサイトのスタッフによる、シェア生活を楽しむための探検レポートブログ。東京、神奈川、千葉、埼玉、 そして全国各地のシェア賃貸住居をひたすら探検する専門ポータルサイトの隊員達。明日はあなたの物件へ・・・!?
広場と階段、街と路地、玄関と窓。暮らしと住まいの、新しい解釈。
2009年の完成以来、様々なメディアに取り上げられてきた「ヨコハマアパートメント」。建築雑誌で見かけて以来、写真と図面を一生懸命見比べては妄想したものです。
まるで道路が続いているように街へと開かれた高さ5mの開口。その奥に広がる路地のようなスペースと三角の柱。ぽっかり開いた四角い窓に吸い込まれていく、真っ白な階段。
外から見ていると、なんだか空から降ってきた宇宙船のよう。でも内部へ入ると、真っ白な木のならぶ森にいるような心地。
写真を見ていただけではわからない、不思議な感覚です。
企画設計から運営管理までを行うのは、気鋭の設計事務所。<ひらく>をテーマに、数多くのプロジェクトに取り組んできました。
その先駆けとなったのが「ヨコハマアパートメント」。
地域の人にも開かれた場所でありたいというオーナーさんと建築家さんの想いは、建物のかたちにそのまま表れています。実際にご近所さんも参加できるイベントを開催して、ソフト面でも<ひらいた>住宅になることがあるそうです。
建築家の考える建物は、ときに突飛なデザインと言われるかもしれません。
でも、その形状は何らかの問題に対するひとつの回答であり、新しいライフスタイルの提案でもあります。
それを評価するのも享受するのも我々住まい手と街の人々ですが、実際のところは小難しいことはともかく、自分なりに、楽しく住みこなせば良いのだと思います。
西横浜駅を背に東海道を渡って、ほぼ一本道。緩やかな坂を上ったり、すこしだけ下ったりしながら徒歩15分ほど。家から駅へ向かう方が下り坂が多いですから、もうすこし早く着けるかもしれません。
小ぶりな一軒家の立ち並ぶ細い路地に入った瞬間、目に飛び込んでくる真っ白な…家?
大きな壁が折り重なったような外観。何階だかわからないところから、スッと伸びている階段。
通行人が不思議そうな顔で眺めている気持ち、よくわかります。
なによりも気になるのは、この大きな大きな開口部。
いえ、シェアハウスとして捉えるから、開口部と言いたくなるのかもしれません。なにも知らない人にとっては、路地に近いのかも。
その手前には、入居者さんの育てている多肉植物がありました。
ほどほどにラフな感じが、建物の雰囲気に良く似合います。
いくつかある開口部のどこからでも出入りできますが、正式な出入り口は建物の脇だそう。
出入り口らしく、各専有部のポストとインターホンが取り付けられています。
一般的には玄関ドアの隣に付いていそうなインターホンが横並びになっているのは、なかなかユニークな光景。荷物が届いたら、部屋からここまで取りに来るのが早いかもしれません。
路地の延長のような、不思議な空間が共用部。
半分屋外のようなこの場所は、リビングでもラウンジでもなく「広場」と呼ばれているそう。確かに、しっくりくるような。
なかへ進んでみると、どこから見ても目を引くのは階段。
三角形の大きな柱のような部分に、階段が取り付けられています。
三角形の柱の中は倉庫になっていて、各専有部ごとに鍵をかけて使えるそうです。
それにしても、各入居者さんの部屋どこにあるのかサッパリ分からない不思議な空間ですが、聞けば、この4つの階段が2階にある専有部の玄関へつながっているとか。
つまり、広場から専有部へ戻るときは「おやすみ〜」なんて言いながら階段を上っていくわけです。なんだか良い光景になりそうですね。
階段の上から見おろすと、さらにユニークなこの景色。
広場を中心に専有部が配置されているというよりは、専有部と専有部のすき間を共用部にしているような設計です。うーん、面白い。
この広場では、地域の人にもひらいたイベントをひらくこともあるそう。近所のおばあちゃんがフラリと立ち寄って展示を見ながらおしゃべりしたり、子どもたちが連れ立ってワークショップに参加したり。賑やかな声に誘われて、道行く人たちも吸い込まれるように集まってきたりして。
イベントで使えるように、壁にはロープを引っ掛けるためのフックが取り付けられています。
絵を吊るしたり、スクリーンを作ったりと用途は様々。
入居者さん主催で、BBQが行われたこともあるそうです。
半屋外ということで煙の心配は不要。家でBBQなんて、手軽で良いですね。
使い込まれたダイニングテーブルの周りには、種類の違う椅子がいくつか。
他にもごろごろと置かれた家具は、入居者さんが持ち寄ったものだそうです。
なかでもすこし気になる、このテーブルと木の囲い。
裏手に回ってみると、なんとキッチンでした。
テーブルにシンクとガスコンロを取り付けたオリジナルのキッチン。ガスコンロは4口と、充実の設備です。
キッチンの下には、ポンと置かれたトースターまで。
実は、専有部には、バスルームやトイレは備わっているもののキッチンはありません。つまり、日常的な調理はここで行います。
一応半屋外ですから、毎日使うのには少々厳しい環境と思う方もいるはず。外食がメインで、たまに自炊…くらいの方に良いかもしれません。
もちろん、毎日帰ってくるとお味噌汁の匂いがしていたら、とっても嬉しいですけれど。
三角形の柱のうち、一部は共用の倉庫になっています。
ドアを開けると目の前に冷蔵庫。確かに、それが一番合理的な気もします。
奥には電子レンジに食器、洗剤のストックなど共用で使える備品がずらり。
調理中に容器が必要になったとき、パッと取りに来るのは多少手間かもしれませんが、なんとか許容範囲というところでしょうか。
専有部に冷蔵庫などのキッチン家電を置かずに済むのは、意外とアリなのかも。
エスプレッソを入れられるコーヒーメーカーまで。
寒い日の朝、熱々のコーヒーを淹れてボーッとしながら身体を温めるのには、意外といい空間かもしれません。石油ストーブを点ければすぐ温まりますしね。
ちなみに、特注のビニールカーテンを閉めていることもあるそうです。
空調効率が上がるだけでなく、多少の防音効果もありそう。
広場から専有部に戻らなくて良いように、共用のトイレが設置されています。
イベント時にもこちらが使われるそう。掃除は入居者さんによって適宜実施されるとのことです。
では、専有部を見ていきます。
壁に沿って伸びる階段は2階ほどの高さに踊り場があり、建物の外側へと折り返しています。
隣家との距離は意外と近く、家と家のすき間に入り込んだよう。
蹴上部分のないスケルトンタイプの階段で手すりもシンプルですから、物を落とさないようにご注意を。
窓のようなくもりガラスの引き戸が、専有部の玄関です。
インターホンやポストは建物の入口にありますから、設備は鍵のみ。非常にシンプルなデザインです。
引き戸の内側は、すぐに居住スペース。
実は、訪問時は満室だったのですが、運営会社のスタッフさんが居住中とのことで、特別に部屋を見せてもらいました。備品はすべて私物ですから、あしからず。
土間はなく、引き戸の下には段差が。
内側からは、一切玄関には見えません。目の前が隣家の屋根瓦という点も相まって、窓から出入りをしているような感覚です。
出入り口の外には、屋根や庇(ひさし)はありません。
ですから、靴は室内で保管する必要があります。入居しているスタッフさんは、玄関マットを敷いていました。
一見シンプルな間取りですが、室内に水まわり設備を備えています。
9.9畳にバスルームとトイレが含まれていますから、感覚としては8畳程度のワンルームに近いかもしれません。
玄関を窓代わりにしている分、採光はバッチリ。
晴れた日の日中なら、天井照明なしで充分過ごせる明るさです。
雰囲気の統一された文庫本が並ぶ本棚も、その本棚によって緩やかにゾーニングされた空間づくりも、さすがのテクニック。
インテリアのアイデアがたくさん詰まっていて、とても参考になります。
真っ白な壁に、グリーンもよく映えます。日当たりも良く、植物は育てやすい環境かと。
奥にある引き戸の奥はトイレとランドリー。
左手の窓からはベランダに出られますが、先に水まわりから見ていきます。
トイレのすぐ隣は洗濯機の設置場所。
洗濯機は持ち込みですが、設置スペースはドラム式でも余裕がありそう。ちなみに、突っ張り棒は後から設置されていますから、収納スペースとして使うか否かは任意です。こういう方法もある、と参考にどうぞ。
窓を開けた瞬間、眩しいほど真っ白なベランダが。
ガーデンテーブルのセットを置けるほど、充分なゆとりです。洗濯物も心置きなく干せる広さ。
手すりが細く、物干し竿代わりになるメリットも。
ベランダの対面の壁には、収納とテーブルが備え付けてあります。
真っ白な中に、木口のブラウンがアクセント。キリリとした雰囲気をやわらげてくれます。
テーブルとしてもキッチン家電を置くスペースとしても、ちょうどいい奥行き。
ライフスタイルによっては、専有部に電子レンジを置きたい方もいるかもしれません。
本来の役割は洗面台ですが、食器を洗う程度なら専有部でも可能です。
水栓の、錨(いかり)のようなデザインがキュート。
デザインホテルを思わせるコンパクトな洗面は、ホテルライクな暮らしを求める方には、ちょうど良いバランスかもしれません。
一方、浴室はシャワールームではなく、しっかりバスタブ付きなのが嬉しいところ。
これなら、いくらでも長風呂できてしまいます。
1階の倉庫をチラリと覗いてみます。
色々と家具を持っている状態からの引越しの場合、2階の室内に入り切らないアイテムも出てきそう。そんな時に活躍するのが1階です。
ただ、倉庫と呼ばれてはいるものの、キッチングッズを収めるサブの部屋として使っている入居者さんも多いよう。
その使い方なら、共用キッチンを使うのもグッと楽になりますね。
なんだか妙に格好良いデザインの駅舎です。反った屋根が日本の城を思わせるような。
横浜駅までは2駅4分。品川まで32分、渋谷まで40分と、都内への通勤も可能でしょうか。
駅から5分ほど歩いたところに、大きめの商店街もあります。
帰り道に立ち寄って買い物をするには、ちょうど良い場所。お世話になるシーンも多いかと。
駅周辺は平坦ですが、すこし駅から離れると横浜独特の起伏ある道に。
毎日片道15分。運動不足の気になる方には、程よい刺激になりそうです。
運営管理を行うのは「株式会社オンデザインパートナーズ」さん。
住宅設計を中心に活躍する建築事務所は、建築・不動産関係者のあいだでは、名の知れた存在です。
なかでも「ヨコハマアパートメント」は代表作。完成時には話題になり、多くの建築雑誌で見かけたものです。
建築事務所が直接運営管理を行うのは、意外と珍しいパターン。前述の通り、実際にスタッフさんが住んでいたこともあり、名実ともに、このシェアハウスを一番分かっている存在です。
とはいえ、割と自主性を重視する運営スタイルで、任せきりの感覚はNG。定期的に開催される入居者会議への参加も必要です。そのあたりは、念頭に置いていただければ。
そのかいもあってか、共用部でのイベントはいまでもしっかり続いているよう。
イベントは継続していくのが大変だったりするんですよね。 最近では、ダイナミックな空間を活かして<世界一難しい流しそうめん大会>が開催されたとか。展示会や、入居者さん同士のご飯会なども行われているそうです。
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正直なところ、人を選ぶ家でもあります。
だからこそ、住むとなれば愛着を持って暮らして欲しいと思います。
(テルヤ)
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